はじめに
前作の『破天荒フェニックス』ですっかりファンになってしまった田中さん。
『大きな嘘の木の下で』という題名もさながら、
目次も『○○論のウソ』と構成されており、
このちょっと捻り曲がっている感じが私的にはとても好きです。
ここからは、章ごとに私の印象に残った箇所をピックアップしながら、
感想や私の捉え方を記していこうと思います。
幸福論のウソ
そもそも「幸せ」という言葉は「状態」を表すものではなく、瞬間、瞬間に感じる「感情」を表すものなのだ。
この章を読んで、確かに・・と納得をしてしまいました。
幸せという価値観は人それぞれであるということ、そしてこの幸せの状態が24時間365日続くなんてことはありえなく、そもそも幸せというものは状態ではなく、その時の感情なのだと気づかされました。
この幸せという感情は、その時々の環境やによって左右されたり、誰かとくらべた時に感じやすいという特徴も持っていることが事実だと記されています。
そこで、田中さんが辿り着いたのが「豊かさ」を指標に置くということ。
これは実際にOWNDAYSの企業理念にもなっています。
「幸せ」と「豊かさ」の違いは感情ではない、基準がしっかりとあることにあります。
そしてこの豊かさというものはお金だけではなく、知識だったり、体験だったり、友達だったりとたくさんのものがあります。
豊かにしてあげることで、結果幸せな瞬間が増えていく。
私にはこのロジックがとても符に落ちました。
お金論のウソ
自分の時間を「お金」だけと交換するか?「お金+α」と交換するのか?
本書にも記されていますが、お金は失ってもまた手に入れることができます。
しかし時間はただ失うことしか出来ない。この発想で考えると、お金を稼ぐために
時間を使うことがいかにもったいないことなのかがわかります。
自分は自分の時間を何と交換しているのか、そんな観点を持ち続けることはとても大切だと感じます。
仕事論のウソ
「仕事」とは、誰かの願い(真のニーズ)を叶えるために、自分ができる限りの価値を提供することで、「労働」とは、体を使って働くこと、特に、収入を得る目的で、体や知能を使って働くことを指す。
この2つの違いを考えたこともなかったので、いままでの経験と照らし合わせて考えてみたのですが、何か想いがあって始めた仕事は長続きしていたり、経験として今でも残っているものが多く、ただ収入のために働いた労働はキツかったという感情とそれ以外あまり記憶にすら残っていないということに気がつきました。
でも、時には収入のために労働をするということも大切だと思います。
ただそれでも、仕事と労働を一色単にしないよう、自分の中で整理しておくことも大切なことだと感じました。
成功論のウソ
なぜあれほど成功にまつわる本が売れるのだろうか?その答えは簡単だ。なぜならいくら本を読んでも成功など出来やしないからだ。
これは本当に納得。
個人的には成功パターンを知るということもとても大切だと思っていますが、他人の成功パターンが自分に合うとは限らないし、それを知る手間もかかります。
それよりも本書に書かれているように失敗パターンを学んだ方が自分への反映確率は高く、効率的だと感じます。
私が田中さんの本が好きな理由の一つが、この失敗パターンを惜しみもなく教えてくれるからです。
この章で書かれている
成功はアート、失敗はサイエンス
とても好きな言葉です。
人生論のウソ
人生における選択の先には、どちらにも天国と地獄が待っているのだ。
結局はその選択を正解にできるのも間違いにしてしまうのも自分次第だというお話。
田中さんであれば「迷わず面白い方を選べ」とアドバイスしたいと記されており、
これは全ての努力や才能も、夢中という力には敵わないからだと説明もされています。
走り続けてさえいれば、今の状態は「敗北」ではなく「挑戦」になる
この考え方が選択を後押ししてくれる一番の勇気をくれる気がします。
経営論のウソ
「自信」 とは自分をダメにする悪魔の言葉
この言葉は自分にもかなり突き刺さる言葉でもあったので、戒めも込めてピックアップしました。何か新しいことをしようとする時に、「自信がついたらやろう」と考えてしまう時がありました。
本書に記されていた、
だいたい、自信なんて、どれだけ待ってもつくものではない。 仮に自信があるとしたらそれは既に経験済みのことでしかないのだ。
この言葉がまさにだと感じます。新しいことをやろうとしているのだから経験できているはずもなく、そもそも自信などつかないのだと。
これは自分を守るための言い訳であり、いわゆる自己投資貧乏に陥り易い考え方だと思います。自信を付けたかったら、行動を起こしてその身で体験してみることが一番の近道になるのだと思います。
本書を読み終わって
今作も期待を裏切らず、まんまと田中さんワールドにのめり込んでしまいました。
破天荒フェニックスはどちらかというと田中さんの生き様を描いた物語といった内容でしたが、本作はさらにその物語を深掘りしてくれていて、ビジネス的観点だけではなく、もっと広い目線での物事の考え方や捉え方について気づきを与えてくれる本だと感じました。
「自分にとっての真実はなんなのか」
その探し方のヒントを本書は教えてくれました。
よききっかけをありがとうございます。